キッチンが使いにくい、浴室が寒くて困っているといった理由で水回りのリフォームを考える方も多いでしょう。そのような場合に気になるのが費用の目安です。そこで今回は水回りリフォームの費用相場や費用を抑えるポイント、注意点についてご紹介します。
水回りをリフォームするタイミングはいつ?
住宅における「水回り」とはキッチン・お風呂・洗面台・トイレの4か所をいい、設置してから10年~20年を目安にリフォームするのが一般的です。20年以上使っていて大きなトラブルがなければ、リフォームを考えることはないかもしれません。
しかし表面的には使えるように見えても、給排水管の内部など普段目に見えづらい部分が劣化している可能性があります。放っておくと水漏れやカビの発生といったトラブルが起きることもあるため、適切なタイミングでリフォームするとよいでしょう。
水回りリフォームの費用相場
水回りリフォームの費用は大きく分けて「本体費用」「工事費用」「諸費用」の3つで構成されています。また、費用相場は工事内容や規模、リフォーム前の状態などにより変動します。またお住まいのエリアや施工業者によっても費用が異なるため、これからご紹介する金額は目安として参考にしてください。
キッチン
キッチンリフォームの費用相場は、以下のように工事内容により異なりますが、約50万円〜200万円です。
システムキッチン本体の交換:約50万円~100万円
壁付けキッチンを対面式キッチンに交換:約55万円~200万円
キッチンを交換して位置を移動:約100万円~200万円
また、キッチンの配置は大きく分けて「壁付け」「対面型」の2タイプがあり、費用相場は対面型キッチンのほうが高い傾向にあります。また、キッチンのサイズや、素材、機能などのグレードによっても費用は異なります。
浴室
浴室リフォームの費用相場は、以下のように約60万円~100万円前後です。工事内容や既存の浴室の状態、新設する浴室のグレードなどにより異なります。
ユニットバス全体の交換:約60万円~120万円
在来工法の浴室全体の交換:約80〜200万円以上
在来工法の浴室をユニットバスへ変更:約65~150万円
浴室の交換と位置の移動:約150万~250万円
浴室の壁面の張り替え:約10万円前後
浴室の床面の張り替え:約6万円前後
このほかに、既存の浴室の状態によっては、下地補修の工事費用(約5万円~15万円)がかかることがあります。特に在来浴室の場合は水の侵入により浴室の土台や壁が腐食していることがあり、この場合は下地の補修工事が必要です。
マンションの場合は戸建てに比べると浴室面積が狭いことが多く、設置可能な浴槽のサイズは比較的小さめになります。また戸建てのほうが自由度が高く、さまざまなオプション機能の工事を行うことも。このような理由から、一般的にはマンションよりも戸建てのほうが費用が高くなる場合が多いといわれています。
洗面台
洗面台のリフォーム費用の相場は10万円〜50万円程度です。洗面台リフォームも工事内容によって、次のように費用が異なります。
洗面台本体の交換:約10万円〜25万円
洗面所の壁・床の張り替え:約4万円~5万円
洗面台の位置を移動:洗面台の本体価格+工事費用約20万円
なお、洗面台本体のグレードは各メーカーにより「ローグレード」「ミドルグレード」「ハイグレード」の3タイプに分けられているのが一般的です。
必要最低限の機能がついたローグレードはシンプルなデザインが多く、費用を抑えたい方に向いています。ミドルグレードは収納スペースが多くシンクも広めで、メイクなどで洗面台を使うことが多い方におすすめです。高級感のあるデザインのハイグレードはより使い勝手がよく、こだわりのリフォームをしたい方に向いていますが、そのぶん費用は高めになっています。
そのほか、ミラーの曇り止めコーティングやキャビネットの設置など、オプションを追加すると費用が高くなることも覚えておくとよいでしょう。
トイレ
トイレのリフォーム費用相場は約4万円〜60万円ですが、以下のように、工事内容や便器の種類により金額は変動します。
ウォシュレットの設置・交換:約4万円~17万円
トイレ本体の交換:約10万円~25万円
和式トイレを洋式トイレに交換:約15万円~60万円
トイレの移動:約29万円~90万円
壁紙の張り替え:約3万円~6万円(面積・素材により変動)
床の張り替え:約2万円~6万円(面積・素材により変動)
本体価格は、最低限の機能がついたシンプルなものであれば5万円前後です。タンクレストイレや自動で蓋が開閉するなど機能性の高いトイレの場合、本体価格は15万円〜20万円以上が相場になっています。また、タンクレストイレの場合、本体に手洗い器がないため、新たに手洗い場を設置すると、その分の費用がかかるでしょう。
費用を抑えるためのポイント
キッチンやトイレなどの水回りリフォームの費用を抑えたい場合は、次のポイントをおさえておくとよいでしょう。
水回り4か所がセットになったプランを利用する
キッチン・お風呂・洗面台・トイレのセットプランにすると費用を抑えられる場合があります。水回りは同じ時期に劣化が見られやすいため、一度にリフォームできるように多くの業者がお得なセットプランを用意しています。
セットプランがお得な理由には、業者が商品をまとめて発注することで仕入れ値が安くなることが挙げられます。また、工事をまとめて行うことができるため、職人さんの人件費や養生費などを抑えやすいことも理由のひとつです。さらに同じメーカーで統一しやすく、工期を短縮できるといったメリットがあります。ただし、この場合、セット内容が決められていることがほとんどです。
メーカーや機能性にこだわりがなく、リフォーム費用をできるだけ抑えたい方は検討するとよいでしょう。
必要に応じて設備のグレードを下げる
水回りリフォームの費用を抑えるには、設備のグレードを下げるという方法もあります。システムキッチンやユニットバスなどはグレードが高いほど価格が高い傾向にあります。
ただし「これだけは実現させたい」というポイントを外してしまうと、理想のリフォームができなくなる可能性があります。グレードを下げる場合はリフォーム前の問題点を見直し、必要な機能や条件に優先順位をつけることが大切です。
補助金や助成金制度などを活用する
水回りリフォームでは条件を満たせば、次のような補助金・助成金制度を活用することができます。
介護保険
国が実施する補助金、助成金制度
地方自治体が実施する補助金、助成金制度
水回りリフォームで活用できる代表的な補助金制度には「介護保険」と「省エネリフォーム支援」があります。介護保険では手すりの設置や滑り止め防止などのリフォームが対象となり、工事費用(上限20万円)の7〜9割(最大18万円)の補助を受けることができます。
国の実施する省エネリフォーム支援では、高性能な断熱材や断熱効果の高い窓の設置などのリフォームが対象となります。補助対象製品にもよりますが、戸建ての場合最大で120万円、集合住宅では最大で15万円の補助を受けることができます。地方自治体によってはエネファームや太陽光発電システムの設置などが対象の補助金制度があるため、お住まいの地域の補助金制度を確認してみましょう。
またこのほかに、「次世代住宅ポイント制度」を活用する方法もあります。これは、環境、安全、高齢者対応、子育て支援などを資する住宅の新築・リフォームが対象のポイント制度です。さまざまな商品と交換できるポイントが発行されます。
※年度によって支給要件や補助金額、実施の有無等が変更になる場合がありますので、最新情報は各制度公式ホームページでご確認ください。
水回りリフォームでの注意点
最後に水回りリフォームをするときに覚えておきたい注意点を3つご紹介します。
設備やプラン、施工会社をカタログだけで決めない
カタログの写真や説明だけで設備を決めてしまうと、理想の仕上がりにならない可能性があります。使い勝手や触った感触などはカタログからは読み取りづらいため、ショールームなどで実物を確認してから決めると安心です。またリフォームのプランや施工会社もカタログだけで決めず、複数の業者に見積もりを出してもらい、よく相談したうえで決定することをおすすめします。
使い勝手とデザインの両立を意識する
水回りのリフォームでは、デザインと使い勝手の両方を考慮して設備を選ぶことが大切です。デザインを重視して決めてしまうと、掃除がしにくい、照明の明るさが足りないなど実際の使い心地が悪くなってしまう可能性があります。また家事動線を意識して設備を選ぶことで、より使いやすく理想的な仕上がりになるでしょう。
マンションの場合は管理規約を確認する
マンションの場合は戸建てと異なり、リフォーム前に管理規約を確認する必要があります。ほとんどのマンションでは専有部分のリフォームは可能ですが、管理規約により工事内容が制限されているケースもあります。したがって、あらかじめ管理組合に相談しておくようにしましょう。
また、排水管に手を加えることができない、床下の構造によって勾配がつけられないなどの理由で、水回りの移動に制約が生じる可能性があります。
まとめ
キッチンや浴室などの水回りは毎日頻繁に使う場所です。設置してから10年〜20年を目安に水回りのリフォームをすることで、使い勝手のよい住まいに生まれ変わるでしょう。費用相場は工事の内容や設備のグレードによって異なります。予算とのバランスをとるために実現したいことに優先順位をつけて、プランを考えることが大切です。今回紹介した費用を抑えるポイントや注意点も参考にして満足いくリフォームを実現してください。