マンションや戸建てで床のリフォーム工事を検討する際には、どのような施工方法があり、どの程度の費用がかかるのか気になるものでしょう。施工後に後悔しないためには、あらかじめ工法の特徴や床材の種類などを知ることが大切です。そこで今回は、床リフォームの施工方法を説明したうえで床材ごとに費用相場を紹介します。
床をリフォームする際の主な施工方法
床のリフォームには、主に「張り替え」と「重ね張り」というふたつの施工方法があります。それぞれの特徴と違いについて詳細をチェックしていきましょう。
張り替え
張り替えとは既存の床材から新しい床材へ張り直す方法です。
マンションや戸建ての床リフォームにおいて、張り替えの方法で工事をした場合は、既存の床材をまず全部撤去する必要があります。そのうえで新しく用意した床材に張り直し、床を完成させます。
この場合、後述する重ね張りと比べると、工事には多くの手間がかかり、費用も高額になりやすいのが特徴です。
しかしながら、張り替えには大きな利点もあります。新しい床材を張るために、いったん現在の床材を剝がす必要があるため、下地の様子を確認しつつ工事を進めることができます。
その際に、万が一シロアリ被害や腐食などの傷みが確認できれば、あわせて対処が可能です。したがって、下地もまとめて補修したいと考えている方には張り替え工事が向いているでしょう。
また、張り替え工事は床材を重ねて張らないため床に段差が生まれません。つまづいて転倒するリスクも減らすことができることから、バリアフリーを考慮したい場合にもおすすめです。
重ね張り
もうひとつの施工方法は、重ね張りです。重ね張りは、現在の床材を剥がすことはせず、その上から新しく用意した床材を重ねて張っていくことでリフォームする方法です。
床材を剥がす、古い床材を処分するなどの工程がないため、張り替えと比べると全体的に手間がかからず、工期も短くできるのが重ね張りのメリットといえるでしょう。また、費用も張り替えと比べると抑えられる傾向にあります。したがって、重ね張りが向いているのは、以下のようなケースに当てはまる人です。
- できるだけ費用を抑えて床をきれいにしたい
- 短い期間でリフォームを済ませたい
ただし、重ね張りは床材を重ねるぶん、段差ができやすくなります。重ね張りをしたせいでドアがうまく開けられなくなるなどのトラブルにつながる場合もあるでしょう。工事を進める際には、ドアをスムーズに開け閉めできるかどうかも確認する必要があります。
【床材の種類別】リフォーム費用の目安
続いて、リフォーム費用を床材の種類別に整理していきます。なお、費用はリフォームを検討するエリアや工事の規模・範囲、現在の床の状態、施工業者など、さまざまな条件により変わります。したがってあくまで目安の費用として参考にしてください。
フローリングにする
フローリングは木質系の材料を使用した床材のことです。主に複合フローリングと無垢フローリングに分けられ、一般的には無垢フローリングのほうが費用が高い傾向にあります。
複合フローリングの場合
複合フローリングは、集成材・合板と呼ばれる基材に、木や特殊シートの化粧材を張り合わせて作られた床材です。施工後も温度や湿度によって変化しにくく、傷や汚れにも強い製品が多いため使い勝手はよいでしょう。しかし、木の質感は無垢フローリングにはかないません。1畳あたりの費用は、1.5万~3.5万円が目安です。
無垢フローリングの場合
無垢フローリングは、木の丸太から切り出した状態をそのまま活かした床材です。自然を感じられる質感や肌触りの良さが魅力となっています。1畳あたりの費用は、2.5万~4.5万円が目安です。
クッションフロアにする
クッションフロアとは、ビニール素材で作られた床材です。耐水性があり、デザインは木目調やタイル調などバリエーションが豊富です。また、その名の通りクッション性があるのも大きな特徴です。
足音や、おもちゃを落とした音などを軽減できるものもあるため、子供やペットと暮らす場合にもおすすめです。1畳あたりの費用相場は、1万~6万円程度です。
フロアタイルにする
フロアタイルは、塩化ビニール素材によって作られている床材です。木目調や石目調、アジアン柄などさまざまなデザインがあります。耐水性に優れているのは、クッションフロアと同じですが、デザインの木目や石目などのへこみ、出っ張りが再現されており、まるで本物の天然素材のような見た目を演出できるのが魅力です。そのためフロアタイルを床材に用いると、部屋に高級感が生まれます。
1畳あたりの費用相場は、4万~7万円程度です。
カーペットにする
カーペットは保温性に優れ、歩行時も音が静かで階下に響きにくいという特徴があります。ただし、別の種類の床材と比べると水濡れに弱いため、メンテナンスコストがかかるのが注意点といえます。1畳あたりの費用相場は、0.8万円~1.5万円です。
リノリウムにする
リノリウムは、亜麻仁油、木粉、松脂、植物の繊維、石灰石などを主に使用して作られる床材です。天然素材を使用しているため環境に配慮した床材として知られています。ホルムアルデヒドが発生しないなど人体に有害な成分が抑えられることから、学校や病院などの施設でもよく使用されます。
摩擦や傷といった外部からの刺激にも強く、耐久性の高さも大きな特徴です。そのため長い間、美しい見た目をキープできるのはメリットといえるでしょう。1畳あたりの費用相場は、0.7万〜2.5万円程度です。
畳を修繕する
畳はクッション性の高い床材として知られています。階下にも足音が響きにくく防音の効果が期待できます。保温性や断熱性に優れているのも畳の利点といえます。暑い夏はひんやりとした肌触りが感じられ、寒い冬は暖かさをキープしてくれるのが特徴です。1畳あたりの費用相場は、工法によって大きく変わります。それぞれのパターンごとに解説していきます。
新調する場合
畳そのものを新しいものに変えるパターンです。このときの1畳あたりの費用相場は、1万~3.5万円です。
表替えにする場合
畳の表替えとは、現在使っている畳の表面と畳の縁を交換する方法で、畳の中身である畳床はそのまま使います。この場合、1畳あたりの費用相場は0.5万~2万円です。
裏返しにする場合
畳の裏返しとは、現在使用している畳表を一度剥がし、裏返しにして張り替える方法です。このとき1畳あたりの費用相場は、4,000円前後になります。
床のリフォームを考えるべきタイミング
床材別にリフォームをを検討したほうがよいタイミングの目安を以下にまとめました。
- フローリング:10~15年
- クッションフロア:10年前後
- フロアタイル:10年前後
- カーペット:5~6年
床の傷みや劣化の具合によっては、目安の時期よりも早くリフォームしたほうがよい場合もあるでしょう。たとえば、畳以外では次のようなトラブルが目立つ場合、早めにリフォームを検討することが望ましいです。
- あちこちで床材が剥がれている
- 傷が目立つ
- ギシギシと音がする
- 歩くときに音が鳴る箇所が多い
- 日焼けで色あせている箇所が多い
一般的な畳を補修する時期と用いる施工方法は、使用年数2〜5年で裏返し、4〜7年で表替え、10〜15年で新調するのが目安とされています。
床のリフォームを行う際の注意点
最後に、マンションや戸建てで床リフォームを行う際に、あらかじめチェックしておくべき注意点を紹介します。
施工方法によるメリット、デメリットを考えて選択する
床のリフォームでは、張り替え・重ね張りのふたつの工法のメリットとデメリットについて理解を深めることが大切です。そのうえで、現在の床の状態、リフォームで実現したいこと、予算などを考慮し最適な工法を選択することが大切です。
場所に適した床材を選ぶ
床材によって性質や優れているポイントは異なります。そのためリフォームする場所に合う床材か見極めることも忘れないようにしましょう。たとえば、キッチンや洗面所などの水回りでは、耐水性が高いフロアタイルやクッションフロアを選ぶという手があります。
それぞれの部屋の役割や性質(汚れやすさ・利用するシーンなど)をしっかり考えたうえで、適した床材を選択することが大切です。
マンション場合は管理規約を確認する
マンションの場合は、あらかじめリフォーム内容が管理規約に違反していないか管理組合に確認しましょう。規約の内容によっては希望の工事ができない、使用できる床材が限定されることも考えられます。
たとえば、新しい床材に張り替える際には防音性(遮音性)のあるフローリングを使うことを規定として定めている場合が多いです。具体的な規約の内容はマンションによって異なるため、管理規約をチェックしながら、リフォームの計画を立てましょう。
なお、集合住宅の場合は、施工の際の騒音問題にも十分に注意する必要があります。事前にリフォーム工事で騒音が発生することを近隣住民へお知らせしたり、工事時間に配慮したりするようにしましょう。
まとめ
マンションや戸建てにおける床のリフォームでは、工法や用いる床材によって費用が変わります。リフォーム計画を立てる際には、工法ごとのメリット、デメリットを確認し、予算と照らし合わせながら自分に合った方法でリフォームすることが大切です。また、床のリフォームとあわせて部屋の雰囲気を変えたり、使いやすくしたい場合は部屋全体をリノベーションするのもおすすめです。ぜひ検討してみてください。