近年、リノベーションを考える場合に、団地を購入してリノベーションするのも一つの選択肢として挙げられます。以前は「一昔前の集合住宅」というイメージが強く、団地は敬遠されることもありましたが、次第に、団地の住環境の価値が見直され、人気を高めていくこととなったためです。
団地にはマンションや戸建てとは違った奥深い魅力が秘められており、ここでは、団地の魅力と、団地を購入してリノベーションする場合の注意点について紹介していきます。
希望の住まいを実現するために、是非、団地を購入してリノベーションすることも一つの候補として検討してみましょう。
団地の魅力
団地には団地にしかない良さがあり、団地の魅力として、主に「緑が多く、スペースにゆとりがあること」「立地条件が良いこと」「人情味溢れる付き合いがあること」「建物のシンプルさに愛着を感じること」の4点が挙げられます。
緑が多く、スペースにゆとりがあること
団地は、山林を造成して建てられた場合が多く、周りに自然環境が残っており、緑がいっぱいです。街を見渡すと、住宅と豊かな自然が共存している場所は、もはや団地しかないと感じるかと思います。最近では、団地の自然を貴重な地球の財産ととらえる動きが広がっており、団地の環境が大きく見直されています。
また、団地は、建物が敷地に対してゆったりと建てられている場合が多いです。隣の棟との距離が広く取られていることで、日当たりや風通しが良く、敷地内に公園など子供の遊びスペースが充実しており、子どもを目の届く範囲で遊ばせることができ安心です。
そのため、環境を重視する子育て中のファミリー層にオススメです。
立地条件が良いこと
団地は、通勤の便や住環境としての立地場所が良いです。これには、団地が建てられるまでの経緯に理由があります。通常、マンションや戸建てを新たに建てようとする場合は、通勤の便や住環境の条件の良い場所を選んで建てようとします。しかし、団地の場合は、街の一部として建設が計画されていることが多く、団地を建ててから、多くの人が生活しやすいように周辺の環境も整えられていきました。そのおかげで、現在の団地は、公共交通機関が近くにあり、スーパーや学校、病院、郵便局等の生活施設が隣接しています。
そのため、コンパクトなライフスタイルを求める方にオススメです。
人情味溢れる付き合いがあること
団地では、団地の住民同士が横のつながりを築き、人情味溢れる付き合いをすることができます。近年では核家族化がますます進み、さらなるインターネットの普及で現実での付き合いが減ることで、隣人との人間関係ですら希薄になりがちです。
しかし、団地では、自治会などのコミュニティや、各地域で盆踊りや夏祭り、フリーマーケット、ハロウィンなどの様々な行事や催し物があり、住民同士の横のつながりができ、親睦を深めることができます。
そのため、人間関係を大切にしていきたいと考える方にオススメです。
建物のシンプルさに愛着を感じること
団地は、そのシンプルさに愛着を感じることができます。団地は整然とした佇まいから、無機質で何か物足りなさを感じるかもしれません。しかし、様々なものがあふれ、複雑になった現代社会においては、それも一つの選択肢ととらえられ、その価値は逆に見直されています。おしゃれさや自分流の生き方の表現の手段となり、そのシンプルさに愛着を感じます。さらに、室内をリノベーションすることで、建物と室内のギャップを楽しむことができます。
そのため、シンプルさで自分を表現したい方にオススメです。
団地リノベーションで注意する点
団地を購入してリノベーションする場合、団地ならではの注意点があります。必ず押さえておきたい点として、主に「壁式構造になっていること」「在来浴室になっていること」「直天井、直床になっていること」「エレベーターがないこと」の4点が挙げられます。
後悔しないために、団地リノベーションの注意点をしっかりと理解しましょう。
壁式構造になっていること
マンションの構造にはいくつかの種類がありますが、大半の団地は、壁式構造になっています。壁式構造とは、5階建て以下の小規模建物に多くみられる構造であり、コンクリートの壁だけで荷重を支え、構造耐力を確保しています。今の耐震基準と比べても十分な強度があり、大きな地震にも耐えることができ、安心です。これが、現在、団地リノベーションが人気である理由の一つであると考えれています。
しかし、部屋と部屋の間仕切り壁がコンクリートの耐力壁となっている場合が多く、この壁は撤去することができません。そのため、どうしても間取りに制限があり、大きな間取りの変更が難しいため、リノベーションで間取りにこだわりがある方は注意が必要です。
在来浴室になっていること
団地では、多くの場合、ユニットバスではなく、タイル貼りの在来工法の浴室になっています。このとき、居室と浴室の間の壁が耐力壁となっていると、この壁は撤去ができないため、浴室の形を変更することが難しくなります。そのため、リノベーションで浴室の形にこだわりがある方は注意が必要です。
なお、古い団地でリノベーション時にタイルの貼り替えも考えている場合、防水性が低くなってしまっている可能性もあるため、内部の防水処理を行うことをおすすめします。
直天井、直床になっていること
団地の中には、天井のコンクリート面に直接塗装したりクロスを貼ったり(直天井)、コンクリートの床の上に直接フローリングやカーペットが貼られている(直床)場合があります。直天井、直床されていると、リノベーションで既存の状態より天井高を上げることができません。
また、直天井では、照明器具の配線などは天井に打ち込まれるため、照明器具の位置を変更したり増やすことが難しくなります。また、直床では、水道やガスなどの配線のスペースがなく、必要な箇所だけ床仕上げを上げたりしているため、キッチンやトイレの位置を変更することが難しくなります。
そのため、リノベーションで天井の高さ、キッチンやトイレの位置にこだわりがある方は注意が必要です。
エレベーターがないこと
5階建て以下の低層の団地には、ほとんどエレベーターが設置されていません。そのため、2階が最も高額で、5階が比較的低い価格で取引される傾向にあり、住む階により購入価格が変わります。また、設備がないことで、管理費、修繕積立金等毎月の負担が安くなります。
しかし、高齢者にとっては、階段の上り下りは辛く、不自由をかけてしまいます。階段を踏み外し転落してしまい、思わぬ事故になる可能性もあります。
そのため、祖父母等高齢者と同居を検討している方は注意が必要です。